相続放棄をする際に他の相続人の同意は必要なのか
1 他の相続人の同意は不要
相続放棄をする際に、他の相続人の同意を得る必要はありません。
法律上、相続が発生した場合に誰が相続人となるかが身分関係に応じて定められており、その相続人が望むかどうかに関わらず、相続人としての地位が生じてしまいます。
相続が発生すると、相続人は、被相続人の権利だけではなく、債務もすべて引き継いでしまいます。
ただ、相続人本人が望んでいないにも関わらず、相続をすることを強制することは不当だといえます。
そのため、相続人には相続放棄をすることが認められており、相続放棄をするための理由は問われませんし、誰かに同意を得る必要もありませんので、自由に相続放棄をすることができます。
たしかに、相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったことになるため、他の相続人の相続に影響を与えるのですが、かといって、他の相続人からの同意を得る必要はありません。
2 新たに相続人となる者がいる場合には注意
自分が相続放棄をすることで新たに相続人となる人が発生する場合があります。
どのような場合かというと、相続人には優先順位が定められており、先の順位の相続人が相続放棄をすることで相続人ではなくなった場合、後の順位の相続人が相続人になりますので、自分が相続放棄をすることで先順位の相続人全員が放棄したことになる場合には、新たに相続人が発生することになる場合があります。
その場合、注意した方がよいことがあります。
というのも、もともと相続人であった者はよいでしょうが、自分が相続放棄をすることで新たに相続人となる者は、同じく相続放棄をしようと思ったら、裁判所での手続きが必要になりますので、場合によってはクレームを受けるおそれがあります。
さらに、自分が相続放棄をしたことは他の相続人や、新たに相続人になった者には自動的には伝わりませんので、場合によっては、自分が相続放棄をしたことだけは伝えておいた方よいかもしれません。
もちろん、だからといって、他の相続人から相続放棄をすることへの同意を得る必要がないことは変わりませんし、上記の連絡をする義務があるわけではありません。
ただし、お互いの関係性を考えると、相続放棄をしたことの連絡をしておいた方が良い場合もあります。